まず最初に、火をつけるための木を取りに行くことにした。
行き先として選んだのは、近所で一番木が落ちていそうな淵野辺公園。
目標として、まっすぐな木の枝を数本、木の板を数枚、紐として使えそうなツタ1本を目標にした。
8月で木の枝はそこまで落ちていないイメージがあったのだが、まっすぐな木の枝とツタは比較的楽に見つかった。
なんとここまで5分強と思ったより時間がかからなかった。(駐輪場の近くにあったので比較的早く見つかった)
しかし、ここからが大変だった。木の板と言えるものが全く見当たらない。
2時間ほど探して、やっと見つけることができた。
下の写真が見つけられた火起こしセットである。(写真を撮るのを忘れていたので火起こしの後にとったものになっている)
この木の板はおそらく木の外側の厚めの皮が剥がれたものだろう。
木の板は本来幹の部分を加工しているものだろうが、そんなもの落ちているわけがないので探すのに苦労した。
また、公園の生きているツタを切るのは気が引けたので代用として家に生えていたツタを切り取った。
さて、これで採取のパートは完了である。次の加工に移ろう。
次に、火をつけられるように板を加工していく。
まずは石を使って木の板に60度1cmくらいの切れ込みを......
パキッ!!!
は?切れ味が悪すぎて木に負荷がかかりすぎて折れた?
確かに黒曜石なんて立派なものは使っていないが、尖っている石で削ろうとしたんだが?
冷静になって考えると地面に落ちている時点で相当脆くなっていることに気がついた。
石で切れ込みを入れるのを諦めて、とりあえず切れ込みを入れずになんとかできないだろうか?
木の真ん中を石で殴ってくぼみを作ってきりもみ式を試したが、結論としては無理だと感じた。
木屑が一箇所に集まらず、くぼみから溢れていくせいで一向に煙が立たない。
というか体力がもうほとんど持っていかれた。続きは明日にしよう。
さて、睡眠を得て冷静になって考えると、この工程にはかなり無理がある。
昔の人は先に黒曜石で斧やナイフを作ってから加工を初めていたのではないのだろうか。
マインクラフトというゲームでは木の斧を作ってから石の斧を作っていたが、現実ではそんなことできまい。
この記事の結論に「最低でもナイフは持っていないとほぼ不可能」と書いて、ナイフで切れ込みを入れよう。
ナイフの便利さが異常すぎる。なんでこんな綺麗に切れるんだろうか。
確かにどんな無人島番組でも「ナイフ1本で」が最低ラインな気がしてくる。
非常時のために10徳ナイフなどは持っていて損はしないと思う。
さて、あとは木と木を擦って火を起こすだけだ。
切れ込みの下に落ち葉を一枚しき、麻縄の代わりにする。
そしてひたすら切れ込みのそばに作ったくぼみに合わせ、ひたすら木の棒を擦る。
1時間擦り続け、自分の敗北を悟った。
まず昨日も思ったのだが手が滑りに滑り、全く木から板に力が入っていない。
さらに言えば、棒が板と接触する部分が荒らすぎて、摩擦が生じている面積が少なすぎる。
後者の問題は棒の先端を荒い岩であらかじめ擦って削っておくことで解決できないかと思った。
しかし、何度か削って試したものの、火をつけることはできなかった。
さて、きりもみ式火起こしができなかったので、ゆみきり式火起こしにチャレンジしてみよう。
ゆみきり式火起こしでは一つの木の棒に紐をつけ、その紐を使って棒を回転させる。
この方法だったら力が逃げず、火を起こしやすいはずである。
さて、とりあえず棒にツタを巻き付けて......
パキッ!!!
えぇ...折れた?
ツタにはもっと紐っぽいイメージがあったのだが、流石に植物の範囲内。
茎を曲げようとしたら当然折れると言うわけなのだろう。
このゆみきり式火起こしを紹介する資料のほとんどが麻紐を使っていたが、理由が理解できた。
実際に自分でゼロから火起こしをしてみようとすると火起こしは思っているより難しかった。
「原始的な火起こし」という名前に勘違いしていたが原始的といっても木を加工したりする技術はすでにあったのだろう。
無加工の木で火起こしをするのはほとんど不可能に近かった。
記事の途中にも書いたが、非常時の備えとしてライターや十徳ナイフがないと火をつけようとするのは絶望的だろう。
非常時に備えることの大切さと、自分がいかに物事を楽観視していたか理解した。